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精油の基礎知識

<精油とは?>

アロマセラピーを家にたとえるなら、精油(エッセンシャルオイル)は大黒柱です。精油は植物に含まれる揮発性芳香性物質を集めたもので、脂溶性で水には溶けません。250~300種あると言われ、花や葉、樹木、あるいは果皮や樹脂からなど抽出部位は様々です。抽出方法には水蒸気蒸留法、圧搾法、溶剤抽出法などがあります。

植物にとって香りとはどんな役割を持っているのでしょうか?自分の身を守るため、虫を引きつけ、受粉を助け、子孫を残すため(受粉が終わると花の香りの濃度は急激に低下します)……香りとは植物にとって子孫繁栄・自己防衛のツールなのです。

自らの存在をアピールするもの=香り、と考えるなら、植物の香り(精油の香り)は植物の生命力そのものと言えるでしょう。アロマセラピーは植物の生命力に助けられながら、人間の自然治癒力、生命力を高めるセラピーなのです。

*精油の共通作用

多かれ少なかれ、全ての精油に共通して見られる作用です。

1.抗酸化作用

2.抗菌作用

 

<抗酸化作用(=老化防止作用)>

人間が生きていく上で酸素は必要不可欠のものですが、酸素にも様々な形があります。

人体60兆個の細胞はそれぞれ呼吸をして酸素を取り入れており、そのうち約2%は活性酸素になると言われています。

この活性酸素は白血球と組んで身体の防衛役として働いています。白血球は病原を見つけると活性酸素を吹きつけて病原を壊してしまいます。しかし活性酸素が多すぎると、攻撃の矛先を自分自身の細胞に向けて自らを傷め、老化を促進してしまうのです。

鉄がさびてもろくなる様子を想像してみて下さい。さびるということは酸化するということであり、体内でも同じようなことが起きるのです。例えば肌の細胞に酸化が起きると、シミやシワとなって表れます。また活性酸素は柔らかい関節の組織にも溜まりやすいとされ、関節痛の原因になるとも言われています。

この活性酸素はストレスによって多く生み出されます。ストレスは精神的要因だけでなく、汚染された空気や水、食品添加物や農薬、酸化油脂(過酸化物質)、お酒や煙草、強い紫外線、過度の運動なども物理的ストレスとなります。

この気難しい活性酸素を取り除く酵素は、活性酸素除去酵素(SOD)と呼ばれており、精油に多く含まれています。精油を肌のお手入れに使うことで生き生きとした肌を保つことができるのは、この酵素のお陰なのです。

 

<抗菌作用>

植物が自らの香りで身を守ると述べましたが、香りの成分には強力な抗菌、殺菌力を持つものが多くあります。

例えば、ユーカリ精油を2%希釈したものを部屋に広げると、空気中のブドウ球菌の7割が死滅するというデータもあります。また、主要成分である1.8-シネオールを単離抽出したものよりユーカリ精油で使用した方がその働きは強く、このことは精油の持っている複合的なパワーを示しています。

精油をアロマポットやディフューザーに垂らし香りを漂わせることで、呼吸器系をクリーンに保つ効果があるのです。

<3つのノート>

香りはその特徴から、トップ・ミドル・ベースの3つのノート(香調)に分類されます。

・トップノート

ブレンドした際にまず最初に香る、インパクトの強いノートです。柑橘系、ハーブ系の一部がここに属します。無気力になったり、鬱のようにふさぎ込んだ時に気分を高揚させます。心と身体をリフレッシュさせたい時、夏のブレンドにもぴったりの香りです。揮発性が高く、香るそばからはかなく消えていきます。

・ミドルノート

トップに続き、ブレンドの核であるミドルノートが香り立ちます。身体の機能を整え代謝を促進する働きを持つ精油が多く、ハーブ系の香りの多くがここに属します。ブレンドした香りの印象を決めるボディとも言うべき性格を持ちます。トップとベースノートの橋渡し役でもあります。

・ベースノート

時間が経ってもほんのり香るノートです。ブレンド全体の保留剤的な役割を果たします。樹脂や木、花から採れる精油が多く、ブレンドに深みを与えます。心を鎮め安定感を与えてくれる香りです。感情に対するブレンドに上手に加えてみましょう。

<精油の選び方と買い方>

・選び方

香りを試す時、瓶を近づけて香りを嗅ぐと濃厚過ぎて本当の香りがわからなくなってしまいます。薄めて使うものですから、鼻から20cmは離して香りを楽しんでみましょう。いろいろ嗅いで、香りに慣れてしまったら、外へ出て深呼吸してみましょう。または、ウールやシルク製品の匂いを嗅ぐと嗅覚が蘇ってきます。

一度に試すのは4~5種類が理想です。好きな香りは、あなたの心と身体が求めている香りです。最初の印象や直感を大切にしましょう。

・買い方

体調の良い日の午前中がショップに行くには最適です。朝は鼻のコンディションが最も良い時間帯です。女性の場合、排卵日前後や月経前後を避けることも大切です。個人差はありますが、かすかな香りにも敏感になったり、逆に鈍感になったりと反応がアンバランスな時期です。

どんな植物から採っているのか学名をチェックし、パンフレットがあれば目を通してみます。分かりにくいことがあればショップの人に尋ねてみましょう。

柑橘系の精油は人気がありますが、光毒性(紫外線と反応してシミなどを作る性質)があります。スパイス系(クローブ、シナモン、アニスなど)も刺激が強いものが多いので、注意が必要です。

<保存法と扱い方>

・保存法

精油を買ってきたら、直射日光の当たらない、湿気の少ない冷暗所で保存しましょう。冷蔵庫の温度は冷えすぎで、ワインを寝かせる温度(15~20度)が理想です。真夏だけはしっかりした密閉容器(タッパーなど)に入れて野菜室に入れます。子どもがいる場合は、手の届かないところにしまって下さい。

一度封を切ったら1年以内に使い切ります。ユーカリや柑橘系の精油など、トップノートの精油は香りの変化が早いので、できれば半年以内に使って下さい。ジャスミンやローズ、パチュリーなどの精油は例外的に、1年以上経っても香りは比較的安定しています。いずれにしても、蓋はきちんと閉めて保存して下さい。

・瓶の選び方・扱い方

瓶はデザインも大きさも様々ですが、茶か青色の遮光性のものを選びましょう。

瓶のドロッパー(中蓋)は、静かに傾けて雫が落ちると0.05mlになるようにデザインされたものが多いようです。瓶を振って精油を入れる人もいますが、ゆったりと香りを楽しむひとときですから、精油の雫が落ちるのを待ちましょう。

<精油の基本的な使い方>

・お部屋に(芳香浴)

アロマポットにお湯を7分目ほど入れ、精油を垂らします。急ぐ時はティッシュに染み込ませて丸めておいても十分香ります。6畳間で3~6滴程度を目安にして下さい。ブレンドする場合は合計がこの量になるようにします。

1時間に一度は空気を入れ替えましょう。あまり濃い香りに包まれているとイライラしたり、気分が悪くなったりする場合もあります。鼻は香りに慣れやすく、しばらく経つと精油を足したくなりますが、部屋を一度出て戻ってみると、香りは案外残っていることに気づく筈です。量と換気に気をつけて下さい。

・入浴に

初めての精油を使う時はバスタブに1滴、慣れてきたら5~6滴と考えて下さい。ブレンドの合計も6滴以内にとどめます。足浴や手浴は洗面器に1~2滴で十分です。なるべく、植物性のバスオイルと混ぜて使いましょう。

・アロママッサージに

ボディ用マッサージオイルは、30mlのベースオイルに精油を合計で6滴加えて作ります。顔や7歳以上の子どものマッサージには、0.5%希釈でお使い下さい。作ったマッサージオイルは、2週間以内に使い切りましょう。マッサージをしてはいけない場合もあるので注意して下さい。

<パッチテスト>

10mlのベースオイルに精油1滴を混ぜ、腕の内側に塗り、できれば12時間様子を見ます。何も変化がなければ使い始めましょう。普通の化粧品を使う際のパッチテストと同じ要領です。

もし赤くなったり痒みが出たら、何も入れないベースオイルを塗って精油を薄めてから、そっと押さえ拭きします。症状がおさまらないようであれば、皮膚科の医師にご相談下さい。

*肌が敏感な方でもアロマセラピーマッサージはお楽しみ頂けます。お部屋にアロマランプなどで香りを広げ、ベースオイルだけでマッサージします。これはお子様にもおすすめの方法です。

<これだけは注意>

初めて使う精油は必ずパッチテストを行って下さい。使用時は、植物性油脂で2%以下に薄めて使用しましょう。初めて使う精油は1滴から使い始め、様子を見ながら使いましょう。

次のことに該当する方はご注意下さい。

・妊娠中の女性

基本的に精油は使用しないで下さい。安定期の5ヵ月以降、妊娠線予防に使用したい場合は必ず医師に許可を受けて下さい。

・子ども

7歳から14歳までは、成人使用量の1/3~1/2の使用量にします。14以上で成人と同じ使用量です。

6歳以下の子どもにはラベンダー、カモマイル・ローマン、ローズ、柑橘類の精油を、淡く部屋に香らせる程度にとどめます。マッサージの際はベースオイルのみで行い、保温に気をつけながら圧は軽く時間は短めにして下さい。

・癲癇の発作

癲癇の発作を起こしたことのある人は一切の精油使用は避けて下さい。

・高血圧の人

ローズマリー、タイム、セージ、ヒソップ、ペパーミント、バジルなどの精油使用は避けて下さい。マッサージや熱いお風呂も避けて下さい。

・光毒性のある精油

以下のものは、紫外線と反応してシミなどの原因となる場合があります。昼間のスキンケアには使用せず、使用後6時間は日光を避けて下さい。

<特に注意>

柑橘類、アンゼリカ、バーベナ精油など

<作用は弱いが注意>

メリッサ、ジンジャー精油など

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